日本農業新聞4月30日付け総合・社会面に、「平成の野菜 流行・代表・定着 3冠 パクチー 令和でも人気継続」との記事が掲載されていました。これは、種苗メーカーのタキイ種苗がインターネットで行ったアンケート調査の結果で、全国20~69歳の男女310名を対象にしたそうです。
アンケート結果でのパクチー
記事には4つのアンケート項目があります。
- 平成に流行した野菜:1位パクチー、2位アボガド、3位フルーツトマト
- 平成を代表する野菜:1位パクチー、2位アボガド、3位フルーツトマト
- 平成で定着した野菜:1位パクチー、2位アボガド、3位フルーツトマト
- 新元号で流行すると思う野菜:1位スプラウト、2位パクチー、3位フルーツトマト
以上のように、平成ではパクチーは流行し、代表し、定着した野菜NO1ということになります。アンケート記事には、4位、5位の野菜や、各%なども記載されていますので、ご興味があれば記事を当たられてみてください。また記事にはその他に特にアンケートの紹介はありません。
パクチーがここまで定着したかと言うと、他の定番野菜(トマト、ミニトマト、きゅうり、ナス、レタス・・・・)に比べれば絶対量は少ないはずですが、時代に流行し、さらに時代を代表し、そして時代に定着したという見方をすると、アンケート結果のようになったということです。
パクチーの扱い
巷でパクチーが流行し、消費も伸びていることはメディアの情報からは伝わってきていました。また定番商品として多くのスーパーで扱われていると思います。私が野菜を日常買いしている売り場では、地元産野菜のコーナーに置かれる場合、ハーブ類のコーナーに置かれる場合、葉菜のコーナーに置かれる場合など、扱いは様々です。ここが面白いところですが、定着をしたと言いながらも店側の定義というか分類は定着していないのでしょう。
昭和時代のパクチー
私は昭和末期に都内でエスニックフードを食べ歩いていた頃があり、当時はベトナム料理、カンボジア料理、台湾料理が3台エスニック料理でした。またパクチーとは呼ばれず、ハーブ名のコリアンダーか、中華名の香菜(シャンツァイ)がメジャーでした。かなり香りというか臭いが強い野菜で、少量でもアクセントになっていたと記憶しています。一般に流通している野菜ではなく、おそらく業務用として少量が取引されていたと想像します。さらにコリアンダーや香菜に対する評価はあまり高くなかったと思います。好き嫌いが分かれ、エスニック好きにはたまらない野菜だったかもしれませんが、一般の味覚や臭覚の感覚からするとかなり異端の野菜であったのではないでしょうか。
平成時代のパクチー
それから30年ほどたって、この野菜は平成時代末期にしっかり定着したというわけですが、パクチーが定着したこともあると思いますが、エスニック料理そのものが一般化したこともありそうです。特にベトナム料理はファッショナブルな点と野菜を多用しておりヘリシー感も高いことなど、平成時代の流行料理のひとつであったと思います。もちろんパクチー好きの方々が盛り上げた流行もあるでしょうし、生産側や流通側の努力により需要が喚起されたこともあると思います。
消費者側からすれば、ハーブ扱いだった野菜が量産されるようになり、価格も手ごろになって日常の素材として使えるようになったことも大きいと思います。エスニックだけでなく普通のサラダのアクセントとしても使え、工夫をすれば和食の添え物などにも使えるようです。料理の印象が明らかに変わる優れた素材と言えるかもしれません。
私自身もパクチーを常食しており、葉、茎、根を使い分けもしています。葉はサラダやフォーなどに多量に使い、根は刻んでスープなどの風味付けに、茎は歯ごたえを味わえるよう、各種料理に入れ込んでいます。
パクチーの次は?
アンケートでは新元号で流行すると思われる野菜のトップはスプラウトでした。スプラウトは村上農園が大きなシェアを持っていますが、それ以外のメーカー製品も様々なものが発売されており、地場野菜として生産する方も中にはおられます。また4位にはビーツ、5位にはアイスプランツが選ばれていました。ビーツは色がすばらしく、またスムージーとして飲むと驚くような味覚です。令和の時代も新鮮な驚きのある野菜が好まれるのかもしれません。